<< 裁判員制度 | main | 吾亦紅(ワレモコウ) >>
2008.07.16 Wednesday

早池峰山のトイレ問題

0
    ハヤチネウスユキソウ


    早池峰山のトイレ問題
     早池峰山の山頂に避難小屋の新設に合わせてトイレが設置されたのは1988年だった。それまでは,山頂の岩陰のあちこちに白いテイッシュの花が咲く,ひどい状態だったが,頂上トイレの設置でテイッシュの花は見られなくなった。
     折から「百名山ブーム」で,登山者が急増し,年間25,000人もの登山者が訪れるようになると,このトイレが地下浸透式のトイレであったため,冨栄養化が起こり便槽近くの植物が通常の2倍もの大きさに育ってしまうなど,生態系に大きな影響が現れてきた。
     その状況に対し,山を守ろうと果敢に取り組んだのが地元花巻市の菅沼賢治さんとその仲間達だった。全国でも初めての,ボランティアによるし尿担ぎ下ろしである。1993年11月に始まり,現在に至っている。
     早池峰山では,行政,自然保護団体,登山関係者が一体となって,
      ―佝前に登山口で用を足し,山頂トイレはなるべく使わない。
     ◆〃搬咼肇ぅ譴鮖参し,緊急の場合は携帯トイレを使用して持ち帰る。
    ことを呼びかけている。
     その効果が現れ,ボランティアが担ぎ降ろすし尿の量は,最大時の十分の一以下になっているという。

     登山とトイレの問題は,登山者が少ない時代には,問題にならなかった。と言うより,敢えて目をつぶってきた。現在でも,登山者の少ない山域では,さほど大きな問題にはなっていない。現在の山登り事情は,世の中の動きと同じで,二極化が進んでいる。人気のある山には,わんさと人が押しかけ,人気のない山には誰も行かなくなり,登山道は廃道になってしまう。
     問題は,登山者がわんさと押しかける「人気のある山」の場合である。もともと,自然には,物質を分解して浄化する能力が備わっており,多少の排泄物ならば分解されてしまう。しかし,登山者が増加し,排泄物の量が自然の浄化能力を超えてしまうと,環境を変化させ,動植物に悪影響を与えてしまう。特に,寒冷な高山では,微生物の分解能力は極端に微弱になり,排泄物の大部分は分解されずに,蓄積されてしまう。

     菅沼賢治さんとその仲間達がこだわったのは,登山者に,自分の物は自分で責任を持つという,極めて当たり前のことを求めたことだ。出発前に登山口で用を足し,途中で用を足さなくて済むようにすること,緊急の場合は持参した携帯トイレを使用して持ち帰ることを呼びかけた。
     行政は,山頂に「バイオトイレ」を設置しようとしたが,彼らは反対した。「緊急用として,山頂にトイレはあっても良い。そのし尿は自分たちが担ぎ降ろす。」と。

     全国的に,登山者に携帯トイレ持参を呼びかける山が増えてきている。これも,菅沼賢治さんたちが呼びかけてきたことが,徐々に浸透してきたためと思う。我が国でも,携帯トイレを持参して山に登るのが当たり前のことと言う時代が来るのだろう。
    コメント
    熟年親父様。
    小生の登山紀行にトイレの件、使わせて頂きますので宜しく
    お願いします。(個人山行記録です)
    • 岩井光幸
    • 2010.08.13 Friday 07:34
    コメントする








     
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック
    Calendar
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031    
    << October 2017 >>
    Selected Entries
    Categories
    Archives
    Recent Comment
    Recommend
    Links
    Profile
    Search this site.
    Others
    Mobile
    qrcode
    Powered by
    30days Album
    無料ブログ作成サービス JUGEM